cawaii ジャーナル/展覧会

2011.06.10

「アーティストファイル2011」の松江泰治

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


恒例のグループ展、今年は8組の作家が紹介された。展示ごとに星をつけてみた。

一番面白かったのはやっぱり松江泰治の展示。近作を中心に、2010年の個展で発表された動画作品、「cell」シリーズ……なかでも魅力的だったのは、新作の大判シリーズだ。
たとえば東京、大阪、パリ、フィレンツェなどの俯瞰風景。屋根というか屋上だけがフラットに連なる大画面。ものすごい情報量。ひとつの屋根から隣の屋上へ、さらにその右上の屋上へと目を動かして見ていくのは、写真へダイブしていく感覚であり、そのたびに、飼われている鳥や干されている洗濯物や天気の良い日に食事を楽しむのであろうテーブルと椅子やビキニ姿で日光浴する女性を見つけるのは、街歩きの楽しさに近い。いつまでも見ていたくなる。これらがモノクロームの写真であったら抽象画のように見えるのかもしれないが、カラー写真であるために、あっけらかんと日常なのだ。


そのうちに、思う。今さらだけど、なんて奇妙な風景なのかしらと。屋上の連なりは、誰かに見られることを想定していない無防備な風景だ。この写真家が、どうやって見つけたのかは知らないけれどこの撮影ポイントを見つけ、カメラに納めなければ、決して見ることのない風景なのだと。エステティック・サロンでお手入れしていない背中を、思いがけず覗き見てしまったような感覚。松江写真はエロティックである。

 

 

「アーティスト・ファイル2011 現代の作家たち」

2011年3月16日-6月6日

国立新美術館(乃木坂・六本木)