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2011.12.07

12月25日写真集『Fukushima〜』刊行

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8月にお知らせしていた市川勝弘写真集『Fukushima 福島県双葉郡楢葉町 1998-2006』が、12月25日刊行の運びとなりました。
 
本書は、広告写真界で活動している市川さんが奥様のご実家の暮らしを記録したプライベートワークをまとめたものです。ご実家は福島県双葉郡楢葉町にあるごく普通の農家でしたが、東日本大震災によって事故を起こした福島第一原子力発電所から20キロ圏内にあったために、現在は戻ることができないでいます。
 
それらの写真を初めて見たのはちょうど10年ほど前です。それはどこにでもある農家の日常であり、平凡な風景でした。田舎で似たような農家を営む親戚のことを思い出しました。自ら現像したというプリントの色彩の鮮やかさに心奪われたのを覚えています。 
 
そして今年4月、彼と会う機会がありました。「もう戻れないかもしれないんだよね」という彼の言葉を聞いて、かつて写真で見た家や庭、稲が育つ田圃の風景を思い出し、実際の風景をもう二度と見ることができなくなるのではないかとの思いにかられました。
 
どんな写真であれ、写された途端に過去のものとなります。それは当たり前のことなのに、本書の写真に限ってはとりわけ胸が締め付けられるのはなぜなのか。
 
 
おそらく、そこで繰り返される日常が、突然なくなるとは思いもよらなかったからだと思います。市川さんが撮影した当時の風景や日々の暮らしは今、かけがえのない記憶のなかの風景となってしまいました。

 

 しかし、記憶はいずれ薄れていきます。かつてそこにあった暮らしや人や風景のことを少しでも留めておくために、これらの図像を残したい。そのためには大量に複製し多くの人に覚えておいてもらうのがいちばんよい。だからこそ出版という形式をとることに意味があるのではないか。

 

そのような気持ちから本書の刊行を決意しました。トゥルーリングは個人出版、リトルプレスです。出版不況のなか、取次も通さないでどれだけできるかわかりませんが、この本はたくさんの人に届けなくてはならないと思っています。

 

『Fukushima 福島県双葉郡楢葉町 1998-2006』

著者:市川勝弘 造本設計:永井裕明 企画編集:カワイイファクトリー|原田環+中山真理

発行:トゥルーリング

A4変型 タテ225×ヨコ270mm, 96ページ, カラー, 41作品収録, 日・英バイリンガル
定価 2,000円(税別) ISBN978-4-9905281-2-6
2011年12月25日発売

 

 

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