お知らせ

2013.03.12

『FUKUSHIMA』その後


  

 

市川勝弘『FUKUSHIMA福島県双葉郡楢葉町1998-2006』から選んだ十数点のプリントが、この3月中、麻布のオーストリア大使公邸で展示されています。

 

本書の制作中だった201110月、市川さんは表参道のスパイラルで同シリーズを展示する写真展「日常」を開催しました。震災を取材していたオーストリアのジャーナリスト、ユディット・ブランドナーさんが偶然展覧会を訪れ、市川さんにインタビューした記事をオーストリアのメディアに寄稿しました。この記事がきっかけとなって、ウィーンのレオポルト美術館での日本美術を特集した企画展「Japan– Fragility of Existence」(201210~20132月)に「日常」シリーズが参加することになったのでした。

 

そして、ウィーンでの展示をきっかけに市川さんと在日オーストリア大使館との繋がりが生まれ、今回の展示が実現しました。

 

展示は非公開ですが、311日の夜、大使公邸では関係者を招いて東日本大震災2周年メモリアルイベントが開催されました。

 

「日常」シリーズのスライドショー映像が作曲家・松本竜之介氏のピアノ演奏とともに上映されたのを始まりに、ユディットさんが著書「Japanレポート3.11」(ブランドル紀子訳、未知谷刊)から2扁を朗読、マグダレーナ・ピアッティ、相川理沙(ふたりともシンガーソングライターです)の演奏で、大震災で亡くなられた方々を追悼する2時間でした。

 

このような機会をつくっていただいたオーストリア大使館に感謝します。『FUKUSHIMA』を刊行したことで、思いもよらなかった多くの出会いに恵まれたことは大きなよろこびです。ウィーンでの展覧会は7万人が入場したと聞きました。

 

本からいろいろなことが伝播していくさまを実感する毎日です。もしも何もしていなかったら、こうした出来事は何ひとつ起こらなかったのだから。 

 

一方で、楢葉町の現状を思うと胸が痛みます。原子力発電所の事故で日常を奪われた方々の苦しみは、癒されたなどとはとても言えません。それはいまも続いています。

 

このことから目をそらさずに進んでいかなければと思います。写真集『Fukushima』は、あの日以前の日常を忘れないためにこれからも存在していくのだということがわかりました。ひきつづき「日常」の展示、『FUKUSHIMA』の販売など、お力を貸していただける機会がありましたら、ぜひご連絡ください。

 

関連サイト

Japnanレポート3.11』(ユディット・ブランドナー著 ブランドル・紀子訳 未知谷刊)

 写真展「日常」について、写真家市川さんへインタビューしたレポートから始まる本書は、震災直後の人びとの生の声を海外へ届けようという目的でまとめられたもの。昨年秋に邦訳が出版された。